コレステロールは低いほうがいいのか!?

いま、感染症全般に関心が高まっていますが、感染症を防ぐにはさまざまな要素が関係しています。

多くの人が、コレステロールというと低ければいいという認識を持っていると思いますが、どうもそうではないという説があります。

 順天堂大学医学部の奥村康先生の著書『免疫力をグングンあげる「不良長寿生活」』(徳間書店)に、神奈川県伊勢原市で行われたコレステロール値と感染症に関する調査が紹介されています。

“肺炎が原因と考えられる呼吸器疾患による死亡率は、LDLコレステロール値が180㎎/㎗以上であれば、男性で3分の1、女性で半分になった”ということです。

 コレステロール値を気にしている人にとっては驚きの結果だと思います。LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれています。140㎎/㎗よりも高いと異常と診断され、コレステロールを下げる薬を処方されます。健康診断でLDLが180もあれば、薬を使って140まで下げようとしますが、“それは感染症にかかりやすい身体を作ろうとしているようなものだ”と奥村先生は述べています。

 アメリカのノースカロライナ州で、1973年から93年までの20年をかけて行われた調査でも、コレステロール悪者説を覆す結果が出ています。

 男性4万8,000名を追跡調査したところ、総コレステロール値が高い人のほうが明らかに肺炎とインフルエンザで入院する人が少なかったそうです。動物実験でもLDLを高値にすることで感染症での死亡率が激減したと言います。

「パンデミックの危機を乗り越えて生き残ってきたのは、コレステロール値の高い人たちであり、これから生き残っていくのも、そういう人たちではないかというのも、あながち的外れな話ではないと思います」と奥村先生はまとめています。

 コレステロールは細胞膜を作る材料になります。ウイルスは細胞膜から侵入して増殖するので、材料不足の脆弱な細胞膜ではウイルスは簡単に侵入してしまうでしょう。

また、コレステロール値が低いと免疫力も低下するし、血管が破れやすくもなるそうです。奥村先生によると、総死亡率のもっとも少ないのは、総コレステロール値が200~280㎎/㎗だったということです。

 従来の健康常識とは違う話なので『エッ!?』と思う方も多いかもしれません。しかし、“常識=正しい”とは限りません。もちろん奥村先生の説も間違っていないとは言い切れないかもしれません。但し、常識に一石を投じる重要な意見だと思います。

自分の健康を守ろうと思うなら、常識に縛られず、自分で調べて考えて、実践してみることも大切です。

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