ネガティブな情報に振り回されないようにしよう

人というのは、“ネガティブ”なことに、より強く反応するように作られているようです。

たとえば、仕事でいい成績をあげて周りの人たちから褒められても、「あいつは調子に乗り過ぎている」という誰かの言葉が耳に入ると、喜びが消し飛んでしまうこともあります。

期待された有名人が、ネットでバッシングを受け、命を断つという悲しい事件もありました。彼らを賞賛するファンの声のほうがはるかに多いのに、数少ない人の心ない誹謗中傷が人生を終らせてしまうことになってしまいました。

 新型コロナウイルスやロシア・ウクライナ情勢、最近でいえば大きな地震もありました。

 多くの人が不安を抱えていることだと思います。ネガティブなことに振り回されるという人間の性質上、一度感じてしまうと、その不安は一気に膨らんでいくのかもしれません。

 こういうときこそ、“ネガティブな思考から脱するすべ”を身につ

ける必要があります。脱すると言っても、不安を打ち消せということではありません。不安は生きている限り少なからず出てくるものです。“こういうときに、人は不安になるものだ”と知ったうえで対策を立てることが大切になります。

たとえば、“東京で1,000人の感染者が出た”という報道が発表されたとします。「エッ、ついに1,000人!」と怖くなってしまうのが人の常ですが、冷静に考えれば、東京の人口は約1,400万人ですので、1,000人というのは、1万4,000人のうちのたった1人ということになります。これが多いと感じるか、少ないと感じるか…。

また、1万人に1人の割合で賞品が当たる抽選会があったとして、自分が絶対当選すると思っている人は、かなりのポジティブ人間です。また、1万4,000人の中の1人になったとしても、そこからさらに重症化したり亡くなってしまうとなると、もっと確率は低くなります。

 末期がんから生還した男性から、こんな話を聞いたことがあります。

「がんと医者から宣告されたとき、生存率は10パーセントと言われました。10人のうち1人しか助かりません。もう絶望です…。

しかし、落ち着いたころにもう一度考えてみました。10人のうち1人に選ばれる自信はないけれども、1万人のうちの1,000人なら自分も入れるかもしれないと思えました。100万人いれば10万人が助かることになります。これくらいなら自分も入れるのではないかと気持ちが楽になりました」

 こういう柔軟な考え方が必要なのではないでしょうか。不安や恐怖は免疫力を下げてしまいます。そうなると、ほかの病気にも感染しやすくなります。

でも、人は不安や恐怖を感じる方向に引っ張られがちな生きものです。そのことを踏まえて、“どうしたらポジティブに考えることができるか”を自分なりに工夫して生きていく時代なのでしょう。

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