致命傷になる高齢者の転倒事故

 かつてのコロナ禍による活動自粛から数年が経ちました。外出の機会が戻った一方で、当時の影響で体力が落ち、「以前より体が動かなくなった」と実感している方も多いのではないでしょうか。

 とくに注意したいのが、高齢者の転倒事故です。実際に高齢者の不慮の事故の割合を見てみると、転倒事故が約30%を占めており、もっとも多い事故になっています。

 そして、転倒事故の発生場所を調べると、「庭」が一番多く、次に「玄関」「リビング」など。じつは家庭内での事故が約60%とその多くを占めており、身近な所で発生していることがわかります。

 転倒事故は大きな怪我につながる場合も多く、骨折などで体に大きなダメージを負ってしまうと、日常生活をおくるのに大きなハンデを負うことになってしまいます。行動範囲も狭まり、メンタルにも大きなダメージを負って、生活の質(QOL)が大きく損なわれてしまいます。

 高齢になると、転倒の発生率が急激に上がってきます。それは単に体が衰えてくることだけでなく、“知覚”の問題も大きくかかわっているようです。

 高齢になると、誰でも体の衰えを自覚するようになります。若い頃のように、激しい運動はできないと実感されている方が多いと思います。

 しかし、“今の自分がどこまで運動能力が低下しているか、客観的に把握している人は少ない”という事実があります。これは衰えていることは分かっているけど、どのくらい衰えているか把握している人は少ないということです。

 ある調査によると、外出頻度が低い人ほど、自分の運動能力を過大評価していたり、逆に過小評価してしまう人の割合が多かったそうです。

 つまり、日常的に体を動かしていないと、自分の体がどの程度動けるかを把握できなくなってしまうということです。

 そうなると、段差のある所で、自分では上げているつもりの足が上がらず、つまずいてしまったり、転んだときにうまく防御ができず、大怪我を負ってしまうことになります。

 ですから、定期的に体を動かすことは、自分が思っている体の運動能力と、実際の運動能力とのギャップを把握するうえでも、必要ということです。

 運動を控えてきた方にとっても、暖かくなるこれからは活動を再開する絶好の機会です。

 今の自分がどの程度体を動かせるかを意識しながら、日頃から体力向上に努めておけば、万一の際にも大きな事故につながることを防ぐことができます。

 そのようなことも意識して、この春から新しい運動習慣を生活に取り入れてみましょう。

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